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Bの部屋(小説「BLOOD」)

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BLOOD1:7~麗奈~バースデープレゼント

7~麗奈~バースデープレゼント
 
 その日の夕方。

 麗奈は約束の時間の少し前にトワイライトホテルに着いた。涼子も弘平も家へは寄らずに直接来るという予定だったので、麗奈は家から一人で来たのだ。

 エレベーターホールでエレベーターが来るのを待つ間、壁に掛かっている大きな鏡に自分の姿を映してみる。

(・・・よし!)

 ちょっとおめかししてみた、自分の姿を見て頷く。

 今日の麗奈は、サテン調の光沢のあるピンクのワンピースに、シースルーの白いカーディガンを羽織っている。

 ワンピースはノースリーブで裾は膝上丈、白のストッキングに包まれた健康的な脚が眩しい。

 背中がかなり大きくカットされているので、カーディガン越しに、ブラジャーをしていないことがわかる。外見からはわからないがもちろんショーツは穿いていない。

 髪はあくまでナチュラルにさらりと仕上げ、お化粧も自然な色合いでまとめてきた。手に持ったポーチとハイヒールは、赤のエナメルで揃えてある。

(・・・決まってる、決まってる。)

 ほとんど自己満足モードの麗奈。・・・今日成人を迎えたばかりとは思えない妖艶な雰囲気を持つ不 思議な少女の姿がそこにあった。

 
 エレベーターが目的の階に着き、レストランの入り口をくぐると、黒服の男性がすかさず声をかけてくる。

「いらっしゃいませ。ご予約のお客様でいらっしゃいますか?」

 努めて優雅に、笑みを浮かべて答える麗奈。

「はい、須藤と申しますが。」

「須藤麗奈さまですね。お連れさまがお待ちでございます。こちらへどうぞ。」

 ボーイにエスコートされた席は、朝涼子が言ったとおり眼下に町並みを見下ろすことのできる窓際の一番奥まった席だった。もうしばらくして日が沈めばさぞ夜景が美しいだろう。

 こちらに背を向けて、濃紺のスーツを着た涼子が座っている。

「須藤さま、お連れさまがお越しです。・・・どうぞ」

 涼子の横の椅子を引き麗奈を腰掛けさせると、深々と礼をしてボーイが立ち去った。

「ママ、早かったのね。」

 母の前にあるグラスが半分ほど空いている。

「ええ、この近くで仕事の打ち合わせがあったの。・・・ごめんね、先にちょっとだけいただいちゃったわ。」
「別にいいんだけど・・・、」

(そんなことよりも、これっていったい・・・?)

 麗奈は、この席をひと目見たときから感じている疑問を母にぶつけてみることにした。

「ねぇ、ママ・・・・、今日って私たち三人だけのはずよね。」

 真四角のテーブルが窓に対して斜めに置いてある。その窓側の一つの席に麗奈が座り、麗奈の隣の入り口を背にした方に涼子が座っている。
 
 そして、テーブルの上には四人分の食器が並べられているのだ。

「・・・誰か、来るの?」

 自分の誕生祝いの席に涼子が同席させるような人物など、麗奈には心当たりがない。

(やだわぁ、せっかく家族水入らずだと思っていたのに。・・・誰だろう?ママのお仕事関係の人?)

 涼子が不思議な微笑みを浮かべる。

「麗奈ちゃんのお誕生日に、弘ちゃんが素敵なプレゼントを用意したらしいわよ。」

(プレゼント?・・・誰か来るんじゃないの?)

 ふと涼子が麗奈の肩越しに、視線をあげた。誰かが近づいてくるらしい。背後に人の気配を感じる。

「お連れさまがお越しです。」
「お待たせ~!」

 麗奈の、窓側の隣に制服姿の弘平が座る。

 そして、・・・弘平と涼子の隣、麗奈の正面に腰掛けた女性を見て、麗奈は口を開けたまま凍り付いてしまった。

(あ、あ、・・・・・・・・)

 案内してきたボーイが不思議そうに麗奈を見つめる。涼子は何事も無いかのように、彼に話しかけた。

「それじゃあ、さっきお願いしたとおりのお料理で始めてくださる?」
「は、はい!」

 慌ててボーイが立ち去る。

 
 涼子の正面に腰掛けている女性。

 年はおそらく30少し前くらい、身長は麗奈と同じくらいだろうか。全体的に細身の分だけ麗奈よりは少し小柄に見える。髪は緩くウェーブがかかり、ちょうど肩に届いている。

 細身といっても痩せているわけではなく、スタイルはこの年代としてはかなりいい方だろう。

 胸元の開いた黒のブラウスに、同じ黒のロングスカートを穿き、腰まで入ったスリットからストッキングを穿いていない生脚が覗いている。

(あ、あ・・・・・、せ、せんせい・・・)

 麗奈はこの女性を知っていた。

 知っているなんてものじゃない。高校の三年間、麗奈が恋い焦がれ、片思いし続けた相手がこの女性、南浦高校教師落合静香なのだ。

 それにしても、二年ぶりに会った落合静香の印象は、麗奈が知っている学校での彼女とずいぶん違っていた。

 以前はもっとおとなしそうな感じで、どちらかといえば地味な印象を与えていたはずだ。それが、服装のせいもあるのだろうが、あでやかで艶っぽい雰囲気を持っている。

 前はかけていたはずの黒縁の眼鏡も今日はかけていない。化粧も決して派手ではないが、鮮やかな色合いのものに代わっている。

 言葉を失ってしまった麗奈より先に、頬を赤く染めた静香が遠慮がちに口を開いた。

「お久しぶりです。・・・ぁ・・・れ、麗奈さま」

(麗奈・さ・まぁ?・・・・・何?いったい何がどうしたって言うの?この人は本当にあの落合先生なの?・・・・みんなで私をからかっているの?)

 食前酒と前菜が運ばれてきて、四人の前に並べられた。涼子がグラスを持つ。

「それでは、乾杯しましょうか。・・・麗奈ちゃんの二十歳の記念日に乾杯!」

 無意識のうちに麗奈もグラスを合わせてしまう。麗奈と静香のグラスがぶつかり、軽い音を立てた。

 
 よく冷えたシャンパンを一気に飲み干すと、ようやく麗奈の頭が回り始めた。わき上がってくる昔の思いを押し殺して、努めて冷静な声を出す。

「あの・・・、落合先生ですよね。・・・いったいなんの冗談なんですか?」

 静香は乾杯のシャンパンを一口飲んだ後、顔を赤くしてもじもじとうつむいている。白衣を着て颯爽と教壇に立っていた、あの落合静香とはやはり思えない。

「静香ってお呼びくださいませ。・・・麗奈さま。」

 麗奈の頭がまたクラクラし始める。

(あぁ、ダメだわ。・・・・この雰囲気・・・、なんで?・・・私・・・しびれちゃう・・・)

 静香のことを思い続け、一人で体を慰めながら思い描いていた夢の中の静香。理想の落合静香がそこにいた。

 麗奈の動揺を見抜いたように弘平が笑う。

「ははは、・・・無理しなくていいよ、姉さん。今ここにいるのは、もう昔の落合先生じゃないんだ。姉さんのマゾペットの静香、ママと僕からのバースデープレゼントさ。」
「私の・・・・マゾペット・・・?・・・だって先生、旦那さんは?」

 麗奈が2年生の時、静香は麗奈の入学当時から婚約していた同僚の教師と結婚したはずである。麗奈が人知れず涙にくれたその時から、まだ4年しか経っていないのだ。

(私が自分の欲望のままに行動してしまったら、先生の新婚家庭がめちゃくちゃになってしまう。・・・そう思って、先生のことは諦めよう、学校の中では自分の欲望を押さえようって決めたのに・・・、いったい・・・)


 弘平がテーブルの下で、静香の脚を軽く蹴る。

「ほら、おまえがちゃんと挨拶しないから姉さん、混乱しちゃってるだろう?」

 静香が、慌てて顔を上げる。潤んだ瞳で麗奈を見つめながら、口を開く。

「すみません、麗奈さま。ご挨拶が遅れました。・・・わたくし、落合静香は、今日から須藤さまのお宅のみなさまのマゾペットにさせていただきます。どうか静香を可愛がってくださいませ。・・・夫とは、・・・・・彼とは先月離婚しました。」
「えっ?えぇーっ??」

(別れたー?あんなに仲が良さそうで、評判のカップルだったのに?しかも先月・・・?)

 静香の言葉はよどみなく続く。

「私は教師でありながら、麗奈さまの在学中から麗奈さまに淫らな欲望を抱き、麗奈さまにお会いするたびに密かに股間を濡らしていたいやらしい牝犬です。

 ・・・そしてそのことを自分だけの異常な欲望と思い込み、つきあっていた彼と結婚しました。

 ・・・でも、ダメだったんです。彼のセックスは全くノーマルで、私を少しも満足させてはくれませんでした。

 ・・・4年の間に夫婦の間もだんだんと冷え切ったものになってしまって・・・、もう限界だったんです。私のようなマゾで、しかも男性よりも女性が・・・その・・・好きな女には、やっぱりご主人様が必要だったんです。」

(・・・それじゃあ、私たち本当は両思いだったってこと?私の3年間の我慢ってなんだったの?)

 だんだん自分がばかばかしくなってくる。

「夫と別れてからのこの二ヶ月間は、麗奈さまにふさわしい牝犬奴隷となれるよう、弘平さまと涼子さまから厳しく調教していただいてまいりました。まだまだ至らないところもありますが・・・」

「ちょ、・・ちょっと待って!」

 麗奈が静香の言葉をさえぎった。

「この二ヶ月間って・・・・?」

 弘平が笑う。

「もちろん僕が入学してからさ。・・・僕が何年姉さんの弟やってると思ってるのさ。もうバレバレ。入学式の日に、ひと目見てわかったよ。姉さんの片思いの相手が先生だってね。

 ・・・一見地味でおとなしそうで、放ってはおけないような雰囲気。奴隷として奉仕させて可愛がってあげたくなる、天性のマゾの素質を持っていそうな女。・・・落合先生ってもろに姉さんの好みだったからね。」


 初めて静香を見た、入学式の時のことを弘平は思い出しているようだ。

「あなた達、好みがほとんど一緒ですものね。結局は二人で同じ女性を好きになったってことでしょ?」

 涼子が二人の顔を見比べ、にこやかに微笑んでいる。

「もう、背筋がビリビリきちゃってたよ。他の女生徒なんて目に入らなかった。入学式の間中静香だけを見ていたのさ。チンポおっ立ててね。」


 静香が言葉をつないだ。

「弘平さまが、私の中の淫乱なマゾの血を目覚めさせてくださったんです。弘平さまから麗奈さまのことも伺って、私、すぐに離婚のことを決心しました。私のようなものは、こういう方たちに奴隷として尽くしていくのが一番なんだってその時にはもう十分わかっていましたから。」

 麗奈は言葉もない。


 涼子はひとまず静香の話をやめさせ、皆を促した。

「・・・さぁ、お食事にしましょう。お話は食べながらでもできるわ。静香、あなたも今日は私たちと一緒のテーブルで食べていいのよ。召し上がりなさい。」
「はい、涼子さま。」

 静香も素直に料理に手を伸ばす。まだ気持ちの整理はつかないが、ひとまず麗奈も料理を先に片づけることにし、ナイフとフォークを手に持った。
 

「ねぇ、ママ。・・・それじゃあ、私の秘密のことママや弘ちゃんは全部知っていたってことなの?」

 母の選んだワインが口に合い、アルコールが程良く回って来たことで気持ちがだいぶ落ち着いてきたようだ。料理を食べながら麗奈が、まだ残っているいくつかの疑問点を解決しようと口を開いた。

 とりあえず今のこの現実は、事実として受け止めることにしたらしい。こういうときの冷静な割り切りかたが麗奈らしさでもある。

「もちろんよ。これでもあなた達の母親よ。」

 涼子はすこぶるご機嫌である。

「しかも麗奈ちゃんの愛人にもなって、もう8年以上ですもの。麗奈ちゃんの考えていることくらいすぐにわかるわ。麗奈ちゃんが高校で誰か好きな人ができて、しかもそれが許されない人らしい、・・・なんてね。

 ・・・学校で必死に性欲を押さえて、クールに振る舞っている麗奈ちゃん、いじらしかったわぁ。あのころ麗奈ちゃん、家でのオナニーの回数がぐっと増えていたでしょ?それにママのことを可愛がってくれる時もすごく激しかったし・・・」


 麗奈の顔が、みるみる真っ赤に染まる。

「マ、ママぁ!!」
「そうそう。・・・姉さんってストレスをセックスで発散するタイプだもんね。・・・外で、何か我慢しているときってすぐにわかるよね。」

 料理を頬張ってもぐもぐしながら、弘平が頷く。

「弘ちゃんまで、なに言ってるのよ!・・・まぁ・・・、いいわ。・・・それは本当のことだしぃ。・・・」

 麗奈の声がトーンダウンする。が、思い直したように顔を上げ、母親をキッと見つめた。

「それにしても、ママ?・・・これは全部ママの計画だったってことなの?」

「まさかぁ。・・・いくらなんでも、静香の結婚や離婚のことまでは私は知らないわよ。ママはただ、弘ちゃんから静香のこと相談されたから、どうせなら麗奈ちゃんの誕生日まで私たちで静香を麗奈ちゃんにふさわしいマゾ牝に調教しておきましょう、って言っただけよ。」

 涼子の表情は、真面目なのかとぼけているのかわからない。

(・・・どこまで本当なんだか?ママのこういうところ、さっぱりわからない。・・・しょせん私たちとは頭の出来が違うのよねぇ。)

 そう考えていると、麗奈にも事のからくりが次第に見えてくるような気がする。

(・・・もしかして・・・、ううん、もしかしなくても、ママなら先生の夫婦生活まで調べ尽くして、関係が冷えるよう裏でなにか手を回すくらいのことしかねない。・・・そう。快楽のためなら何年がかりででも、大抵のことはやっちゃう人だもの。)

 ふと、静香が自分を見つめていることに気付いた。

「何見てるの?・・せんせ・・・し・静香?」


 静香が慌てて下を向く。顔が真っ赤になっている。

「あ、・・・す、すみません。・・・なんだか夢のようで。・・・麗奈さまがこうして目の前にいらっしゃるなんて。・・・」

(いいわ。こうなることは私の夢でもあったんですもの、ママの思い通りにしてあげる。・・・先生のマスターに・・・、私、なるわ。)

 麗奈の表情が引き締まり、唇の端が卑猥に吊りあがった。

「なに調子に乗ってるのよ、静香! まだ私はあなたを飼ってあげるなんて、一言も言っていないのよ!」

 男女を問わずマゾの血を持つ者を虜にする、冷淡なサディストの顔である。どうやら麗奈は、自分だけがのけ者にされていたことに対する不満を静香にぶつけるつもりのようだ。
 

「ママと弘ちゃんからどの程度の躾をされているかわからないけれど、それくらいで私のペットにしてもらえると思っていたの?」

 ヒッと小さく悲鳴を上げ、静香がピンと背筋を伸ばした。

「し、失礼しました。・・・弘平さまが、今日から私は麗奈さまのペットになるんだっておっしゃったので、・・・私、つい・・・」

 麗奈がニヤリと笑う。

「弘ちゃんのせいにするわけね。」

 自分の失言に気がついた静香は、思わず口に手を当てた。

「あ、・・・わ、私、・・・麗奈さま!弘平さま!申し訳ありません!・・・私ったらなんてこと・・・」
「言い訳はいいわ!・・・躾のなってない奴隷にはお仕置きが必要ね!」

 弘平も涼子も、傍観者を決め込んでいるようだ。黙ってことの成り行きを眺めている。弘平は腕を組みニヤニヤしているし、涼子は・・・

(・・・?・・・もぉ、ママったら・・・)

 涼子は、すでにこの場の雰囲気に興奮してしまっているらしい。うっとりと麗奈を見つめる目は潤み、顔を上気させながら腰をモジモジとさせている。

(しょうがないんだから・・・、でも今はママをかまっている場合じゃないのよ。)

「椅子を引きなさい!・・・いやらしい静香のスカートの中身を見せるのよ!」

 ここでですか?・・・麗奈の有無を言わせない口調に、出かかった言葉を静香は飲み込んだ。

 正面の麗奈からも自分の下半身が見えるよう、黙って椅子を下げる。静香は店内に背を向けて座っているので、ボーイや他の客の動きはわからない。それが静香に言いようのない不安を与えている。

 震える手をロングスカートのスリットにかけた静香に、麗奈の厳しい言葉が飛ぶ。

「なに黙ってるのよ!ちゃんとした奴隷の態度もできないの!」

 麗奈の意図は、すぐに静香に通じたようだ。淀みない隷従の台詞が静香の口をついて出る。。

「私、落合静香は、いつ誰に見られるかもしれないこのような場所で、下半身を晒して興奮してしまう変態です。ぁぁ・・・い、淫乱な静香の下半身を、どうぞご覧ください。」


 スリットに掛けた手を徐々に引いていくと、ストッキングを穿いていない生脚が次第にむき出しになっていく。

 体は細身だが太腿には適度に肉が付き、肌はしっとりと張りつめていて、3人の目に晒されている白い太腿とスカートの黒のコントラストが卑猥である。

 やがてスカートは太腿の付け根を越え、秘部までも露わにした。

(ああ、やっぱり・・・)

 麗奈が予想したとおり、静香のクレバスは無毛だった。

「ふぅ~ん、静香のオマンコにはいやらしい毛が生えていないのね。」

 静香が頬を赤くしてうつむく。

(か、かわいい~。ん~、もっと虐めてあげたくなっちゃうぅ~。)

「はい。・・・涼子さまに脱毛していただきました。その・・・、麗奈さまとお揃いにしてあげるって・・・」
「ふぅん?・・・足も開いてみなさいよ。」
「はい・・・。」

 ゆっくりと両足を開いていく。・・・と、そのとき、静香は背後に人の気配を感じた。

「あ、・・・・お、お待たせいたしました。」

 いつの間にかボーイがデザートの皿を持って立っている。ボーイが近づいてきていることを承知しながら、麗奈は静香に下半身の露出を命じていたのだ。

「きゃ!」

 小さく悲鳴を上げ、静香がスカートを下ろす。しかし、若いボーイが静香の露出された下半身を目にしまったのは、誰の目にも明らかである。

「失礼いたします。・・・本日のデザートでございます。」

 努めて冷静を装っているが、赤くなった頬の色はごまかせない。

 肩を震わせ体を堅くしている静香とは対照的に、麗奈は平然としていた。自分といくつも違わないだろうボーイに、にこやかに声をかける。

「ごめんなさいね。・・・この人、脚の間に何か落としたらしくて、ちょっと捜していたの。もう、あったからいいわ。」

 
 料理を出し終えた、ボーイが静香の顔をチラチラと見ながら立ち去っていった。

 麗奈は無言でデザートを食べている。弘平は相変わらずニヤニヤしながら、やはりデザートに手を出した。涼子は・・・、

 涼子は左手をテーブルの下にもぐり込ませている。もとはといえば自分がセットしたこの状況に、自ら興奮してしまい、どうやら片手で下半身をまさぐっているらしい。

 母親の方に目も向けず、麗奈が冷たく言う。

「ママ!いい加減にしなさいよ!・・・ったく、放っておけばこんな所でも一人で始めちゃうんだから。」

 涼子が鼻にかかった甘い声を出す。

「だぁってぇ~・・・、ママ、我慢できなくなって来ちゃったぁ~」
「ダメ!我慢しなさい!」

 麗奈の厳しい声に、渋々左手を出し、フォークを手にする。人差し指と中指が明らかに濡れている。

「まったく・・・、うちの奴隷たちは、どうしてこう躾がなってないのかしら。弘ちゃんも、もっとちゃんとしてくれなくては、困るわ。」

 "うちの奴隷たち"・・・この言葉の意味に気付くだけの余裕は、今の静香にはない。弘平だけは、姉の気持ちに気がついたようだ。

「へいへい。僕の調教がなってないもんで、いつも姉さんには迷惑かけてますね。・・・今日のプレゼントもお気にいらなかったでしょうかね?」
「そんなこと言ってないでしょぉ!」

 麗奈の言葉がいくらか艶っぽい。麗奈がこれ以上ないほど満足していることを、涼子も弘平も十分わかっている。静香だけが麗奈の真意を測れないでいるのだ。

「あ、あの・・・、」

 静香がおそるおそる声を出す。

「なによ!」
「も、申し訳ありません。麗奈さまのお許しもないのにスカートを下ろしてしまいました。」

 背筋がゾクゾクする。体中を走り抜ける快感を、麗奈は止めることができない。思わず声が震えてしまう。

「それが、どういうことか・・・、わかっているんでしょうね。」
「・・・お仕置きは覚悟しています。・・・それとも・・・・麗奈さまの・・・奴隷・・・失格ですか?」

 麗奈がそれに対してどう答えようかと、一瞬躊躇する。

 万全のタイミングで、涼子があるものをテーブルの上に出した。

「これ、もう一つママからのバースディプレゼント。・・・麗奈ちゃんもたった一回の失敗でそんなに静香に冷たくしないでいいでしょ。ママたちの教育が不十分な分、麗奈ちゃん好みのペットに仕上げられるんですもの・・・。」

 テーブルの上に出されたのは、このホテルのルームキーだった。その番号から最上階のものであることがわかる。

「スィートをリザーブしてあるわ。明日は土曜日で静香も休みだから、今日は一晩ゆっくりと静香を躾けてあげて。・・・ね、それでいいでしょ?」

 ふっ、と麗奈が息を吐いた。

(ほんと、なにもかもママの計画通りってことね。・・・スィートで静香先生と一泊・・・・、にくい仕掛けね、全く・・・。)

 下半身が熱く火照っているのが感じられる。

「しょうがないわね。・・・ママたちはどうするの?」

 涼子が艶っぽい目つきで、弘平と視線を絡ませた。

「わかってるくせにぃ・・・、麗奈ちゃんも意地悪ね。ママもこのままじゃ、どうしようもならないもの。・・・もう一部屋、追加。・・・ね、弘ちゃん。」

 弘平が肩をすくめる。

 
 夜は始まったばかりである。
 


テーマ:近親相姦 - ジャンル:アダルト

  1. 2012/06/21(木) 08:40:11|
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